中園ミホ

蓮子「冬子さんが可哀想だと思わないんですか?」 伝助「わしの言うとおりしちょったら、間違いないき」 蓮子「あなたは卑怯者です。私に隠れて縁談を進めるとは」 伝助「おなごんくせに学問やらせんでよか。学のあるおなごは、わしは好かん」 蓮子「じゃあ、なぜ私と結婚などしたんですか?」 伝助「そら、ほれたとたい。見合いで会うた時、いわゆる、ひと目惚れっちゅうやつて」 蓮子「お聞きします。あなたは私のどこを好きになったんですか?」 伝助「お前の華族っちゅう身分と、そん顔たい」 蓮子「身分と顔? そんなの愛じゃないわ。あなたは何一つ私を理解しようとなさらないじゃありませんか」 伝助「黙らんか。お前の身分と顔以外、どこを愛せちいうとか」